手順4 記録資料を確実に保存し、資料について検討を加えます。
得られたデータは、確実に保存し、その管理は厳重にします。不必要に個人名が明かされる
ことのないように気をつけます。
クライエントPCにデータが残る場合がありますが、できればフォルダごと削除しておく方が
安全だと思われます。理由は、誤って漏出する心配や、残ったデータが次回以降に行われる
e−Counselingに影響する可能性が大きいからです。
総合的な解釈として、つぎのように検討してみた。
@ 外国語に対する態度として、負の側面への認識はあるが、それを意識する以上に積極的な
意味づけをしようとしている。
A 海外での生活について、いちばん強く意識していると考えられる部分。ここでは、海外旅行は
そのまま素晴らしいことであり望ましいことであると見なされていることが前提にあって、そうし
た海外旅行が続いているという表現で現在の状況を楽しいものとして描き出している。ほとん
同じ距離で、いくつもの項目がまとまっていることが、こうした思いの強さを表していると解釈で
きそうに思われる。
B 今までの制約の大きい生活ぶりと、現在が対比されている部分。ここは、環境の変化が大き
な要因であって、それが海外での生活によって表れたものと見なせる。海外生活そのものが
直接に影響しているわけではなさそう。
C この不安(=マイナス要因)には、自分でも認識はあるのが、ことさらそれを重要視している
ようには見えない。態度の表明としても、曖昧さが残っている部分。どんな形での問題が起きる
かは予測不可能なのだが、現在も使っている通信手段などが頼りになってくれるだろう、との
期待感で視野のはずれに置いておこうとしている。他のクラスターとの統合が、一番遠く離れて
行われている。他の項目類との隔たりが大きいといえる。
D 日常的には、「自己確認」の意識が強いことが全体のまとめとして表現されている。これは、
別な見方をすれば、いつも緊張感があることにつながりっているように見受けられる。何をする
にも、すべて自分一人の判断で進めなければならない、との切迫感とも通じていそうである。
現在、特別な問題を抱えているわけではないクライエントの「ベースライン」といったものを、ここに
表れたデンドログラムで記録できていることは、とても大事な意味をもつものといえる。今後、何か
の原因で、精神的な不調を感じるようになった場合に、当初の心的な状況記録といえるこのデンド
ログラムを比較対照にすることで、原因追及を促進させうると期待できるからである。
以上で、e−Counselingの試みの解説は終わりです。これ以外に、現在開発中の手法として、「仮想箱庭」も
あります。そちらの公開は未定ですが、下のリンクで「進む」をクリックするとコンセプト紹介ページに進めます。