第10回例会(2016.9.28)の概要

昼の部、への参加はありませんでした。

夜の部は11名。当事者2名、保護者2名、支援者4名、室工大関係2名
 三者講演会の感想を述べ合ってふり返りました。当事者で講演をした立場からの感想では、発表後に質問がたくさん来るものだと思っていたのに余りなかったので拍子抜けの思いだったそうです。というのも、以前に別な所で似た内容を話した際には、質問が殺到したのでとのこと。講演会という形式にしたことや、研究会の主催ということなどが質問をしにくい雰囲気にさせていたのかもしれません。司会進行の工夫も含めて反省点です。別な講師からは、自分で学び直す切っ掛けになったので講演を引き受けて良かった、という感想が聞かれました。前向きな受け止め方をしてもらえるのは、会のメンバー全員にとってもうれいいことです。

 講演会の来場者としての感想には、スライド資料だけではなく「抄録」があると良かった、外部の音が気になった・10分の時間にこだわらずにもっと長い発表になっても良かったのでは、などとアドバイスをもらえました。また、当日は用事で参加できなかったメンバーからは、こうした企画の次回開催に期待しているとの意見もありました。会の今後にとって大いに参考になる発言でした。回覧したアンケート結果と共に、次回の活動に活かしていくことにします。

 今期の活動としては、この例会が最終となりました。いろんな立場の人が一堂に会する場として、この研究会活動は意義ある活動だと思うので続けるべきだ、という趣旨の発言がいくつかありました。継続して活動しますが、大学の後期予定などの関係もあってしばらく休憩をとり、来年度4月に第2期をスタートさせることで了承されました。後期には、「発達障害の映画を観る会」の活動があるので、関心のある方にはそちらに合流してもらうことにしました。

 2017年4月に、またお会いしましょう。

三者講演会(2016.9.24)の概要

参加総数36名。(資料の配付数から。会のメンバーを含む)
 定時の2時に開会のあいさつ。例会の様子や活動の記録などの説明と、当日のプログラムや講評などの予定説明に約10分。その後に当事者・保護者の部から講演スタート。目安は、講演10分と質疑応答5分。会場からの質問は、あまり活発ではありませんでしたが、熱心に聞いている様子は伝わって来ました。理解者としての友人の存在や、就労の場を紹介する団体や組織についての情報などが、来場者には気になるようでした。支援者の部と学習者の部では、スライドを使って講演が行われました。
 4講演の終了後に、講評をお願いしていた養護学校の先生に全体をふり返ってコメントしてもらいました。ご自身の体験も含めて、自己理解の重要さについて触れた部分が印象的でした。これは当事者の子どもなどのことだけではなく、周囲の大人や支援者にとっての自己理解も重要だと気づかせてくれる内容でした。会の終了は、予定の3時半を少し過ぎてしまいましたが、最後まで真剣な眼差しで聞いてくれた会場の皆さんでした。

 回収されたアンケートは18通で、これは半数以上の方が記入してくれたことを示しています。たいへん有り難いことです。
 きちんとした集計結果は別にまとめる予定ですが、おおまかに全体像を書いておきます。男性7・女性9・無記入2。年代では、20代1、30代2、40代1、50代9、60代4、70代1。室蘭市内9、市外7、無記入2。研究会のことを、知っていた9、知らなかった9。会の活動への関心は、全員がある。感想記入、「若い世代の意見、心強く聴けました」「当事者に接している方の具体的な話が聞けて良かった」「理解してくれる友達がいて、幸せだと思いました」「ICD11など、知識があり感心しました」など。アドバイスとして、「パネルディスカッションだと話が深まるし、質問しやすかったと感じた」「大学祭とは別な日が良かった」など。

 三者講演会  ______(以下は記録用です)______
  研究会のメンバーによる、一般向けの講演会を開催します。メンバーには、発達障害
 などの当事者もいますし、その保護者など現在も生きづらさを抱えている人や、そうした
 人びとをサポートしたいという支援者と、こうした現実について学んでいる学習者がいま
 す。これらの三者が、それぞれの立場から広く社会に訴えたい話を、この講演会で発表
 します。私たち研究会から、社会に向けて分かち合いができることを願っています。
 大学祭中でもあります。多くの方々のご参加をお待ちしております。

   
日 時 2016年24日(土) 午後2時から3時半ぐらいまで
    場 所 室蘭工業大学Y棟(教育研究7号館) 1階セミナー室(Y103)
     参 加 会場に直接お出でください。参加は無料です。
   
当事者の部 「当事者として思うこと~子どもの頃、成人後で~」
     〃   「発達障害について学んだこと」
   支援者の部 「教育と福祉の現場を体験して感じたこと」
   学習者の部 
「研究会で学んだ社会の現実と僕たちの世代がすべきこと」

第9回例会(2016.9.14)の概要

昼の部は3名。当事者1名、室工大関係2名。
 三者講演会に向けた相談。講演内容についての意見交換がおこなわれました。話したいことと、聞きたいことの間にずれがあると、両者に不満が残ってしまいます。内容についてさまざまな角度から点検しておくと、そうしたずれを少しでも小さくできることでしょう。今回は、生い立ちなどを順番に説明したくなる傾向が話し手にはありそうですが、それよりも聞き手はその時その時の思いを知りたくなるのではないか、と話し合われました。
 最後にテーマの学習障害について、スライドの説明と解説の動画を視聴して、個人個人によって多様な実態があることに理解を深めました。文字を読みにくい状態でも、手助けできる工夫に努力する必要があると確認しました。

夜の部は14名。当事者2名、保護者2名、支援者5名、室工大関係5名(学生3名)。
 初めに学習障害について、疑似体験を通して当人の困り感を想像してみました。プリントを読み上げる課題ですが、特別なプリントは文字が鏡文字になっていたり、反転していたりして読みにくくなっています。それを、他の人たちと同じようなペースで読むのは、たいへんな苦労が必要になります。しかし学習障害をもつ当人は、他の人もこんな読みにくい文字をあれだけスラスラと読めるんだ、と思っている可能性があります。その自分の不出来さに落胆する気持ちを想像してみました。
 後半は、講演会に向けたリハーサルをしました。全体での講演練習と、グループに分かれての講演練習で、それぞれの課題を見つけ出して改善点を論議しました。とても積極的な発言が続き、時間も予定より長くなってしまいました。各講師が自信をもって発表できるように、聞き役も真剣にアドバイスをしました。みんなで作り上げる講演会になっています。大勢の来場者で、会場のY103の部屋が満員になってほしいものです。

第8回例会(2016.8.24)の概要

昼の部は室工大関係のみとなりました。講演会に向けての準備や、これまでの活動の振り返り、第一期終了後の展望などについて話し合いました。当初の予定であった9月までで一応の区切りをつけて、次回につなげる予定です。
 支援者として何ができるか、については大きな問題があると話題になりました。支えになりたい、という善意が根底にあったとしても、その人の何気ない言葉や振る舞いが、悩みを抱える当人には批判的に伝わる例があるからです。このことは、相手の立場に立つことの難しさを意味しています。まずは、この難しいことがある、という理解から始める必要があると言えそうです。人の状況は、サーフィンの波のように一つとして同じものはない、という理解が大事なようです。

夜の部は14名。当事者2名、保護者3名、支援者6名、室工大関係3名(学生2名)。
 一階のY103セミナー室で、ゆったりと話し合いができました。テーマとしていた「何が今の自分をつくったのか」について話題提供してもらいました。LDを考える会を立ち上げた経緯をKさんが話してくれました。お子さんに関わることで、感覚統合などのトレーニングを希望したが、周囲に理解者が少なく、最後には自分で会を作ることにした、とのことでした。当時の室工大で松本先生に会ったことが助けになったそうです。お子さんとの関わりで、息子さんが「いい子を止める」と宣言されたことが大きな切っ掛けになったと、保護者の方が話してくれました。発達障害の診断を受けることになるまでの、就職してからの体験について、当事者の方も語ってくれました。この先生に診てもらおう決心して、帯広まで出かけたこともあったそうです。支援者として活動する方から、子どもの自殺について心を痛めた体験が語られました。それぞれが、「今」につながっていることを、納得させてくれる話でした。
 それでは、具体的にどう支援することができるのか、何をしたらよいのか、それがよく分からない、という疑問の声が何度か出てきました。これはとても大きな課題で、誰にでも当てはまる万能の答えは見つかりません。いろいろな体験が語られた中からおぼろげながら見えてきたのは、問題の抱え込みを防いで外に開く、という働きかけの方法です。私たちの身の回りでは、家族で抱え込む、学校で抱え込む、職場で抱え込むという内向きの対応が多く見られます。これを何とか外に開いていく方向で考えることの大切さが、見えて来たように思えます。その方法は、まだ手探り状態ですが。

第7回例会(2016.8.10)の概要

昼の部、3名。保護者1名、室工大関係2名。
 テーマの「ネットゲーム」について、学生のY君がつくったスライドを見ながら、基本的な理解を確かめ合いました。スライダからは、オンラインによるコンピュータネットワークを利用したゲームであることや、最初は無料で始められてもその後に料金を支払わないとゲームの進行がスムーズに進まないような例があったり、依存症を引き起こしたりする問題点が明らかにされました。逆にメリットと考えられる点もあり、例えばゲームの構成が実際に外を歩くように設定されていることで、それまで室内こもりがちだった人が外出するようにもなるとのことでした。
 ゲームに限らず、インターネットとひきこもりなどの問題は、関連性が多くの専門家からも指摘されています。その関係自体を取り上げて、ことの是非を論じるだけでは目の前の問題を解決していけない現実もあります。問題を感じている当人にとって、ゲームやインターネットがどのように影響しているのかを、個々に検討していくことが大事だと話し合われました。一方で社会全体の制度として、課金の過多による生活破綻が現実に起こっているので、ネットゲーム規制の法整備の必要性も話し合われました。外国の例なども参考になりそうです。

夜の部は12名。当事者2名、支援者6名、室工大関係4名(学生2名)。
 ネットゲームについて、Y君が発表してくれました。「プロゲーマー」などの用語は、初めて聞く人も多かったようです。ゲームが効果を見せる幾つかの点はあるが、そうした効果は別な活動でも得られるもので、例えばゲームが共通の話題になって人間関係がつくられる場合は確かにあるが、ゲーム以外のことでそうした関係がつくられる方がより良いのではないか、とY君がまとめてくれました。運動不足をゲームのおかげで歩き出すようになっても、それ以外の動機で始める切っ掛けづくりが大事なのではないか、という提案です。Y君は脳の機能についての専門分野を研究対象にしているので、詳しい解説で説得力がありました。
 ゲーム支持派の学生もいて、O君の展開するゲームの可能性論も聞き逃せない内容でした。まだ議論は続いて当然だと思います。今後も、考え続けていくことになるでしょう。依存と熱中の違いについても議論になりました。どうなると依存で、熱中はなぜか晴れやかな印象です。ICT技術や機械開発は人間の準備を待たずにどんどん進みます。何が出てきても揺るがずに維持できる人間の大事なものを、意識しておく必要がありそうです。

第6回例会(2016.7.27)の概要

昼の部は3名。保護者1名、室工大関係2名。
 配付資料の新聞記事と、記事で紹介されていた小冊子について感想を交換。記事は、新採用の小学校教諭が担任をもって数ヶ月後に自殺を選んだと紹介。小冊子の作成は、なぜこの選択に追い込まれたのか、支える手立てはなかったのか、という思いが動機にあったと紹介。受け持った学級は、落ち着いて学習に取り組むことが難しい状態でした。発達障害をもつ児童もいたとのことでしたが、周囲からの助言もなく孤立感を深めていったようです。
 感想では、知り合いに学校教師がいるが、常に忙しいと聞かされている、と語られました。この新人教師も含め、言いたいことが言えなくされていることが、ストレスを高めているのかもしれない、と話し合われました。教師や学校が、子どもたちの生き生きとした生活を生み出すために動けるようにと、社会全体で論議する必要性が語られました。
 テーマであった「ひきこもり」については、声を掛けてくれる近所の人がいてボランティア活動などに参加できている、と現状の説明がありました。ただし、そうした「点」としての取り組みがあっても、そこから点がつながり線や面に発展するのは難しいとのことでした。いくつかの取り組み例が示された中に、韓国の「無重力青年」の例もありました。また、代案学校が多様な取り組みも紹介されました。韓国の大胆で多様な取り組み例は、とても参考になりました。

夜の部は12名。当事者1名、保護者2名、支援者4名、室工大関係5名(学生3名)。
 最初に、学生による「ひきこもり」について概観するスライド発表がありました。テーマに関わって自主的に調べてくれた内容でした。ひきこもりの長期化と高年齢化、発達障害などとの関連について、手際よくまとめられていて、参加者の理解を助けてくれました。続いてのスライドでは、ひきこもりと関連する三つの事例なども発表されました。
 地方行政における相談窓口や、当事者団体や親の会などについて質問が出され、参加者相互で情報交換が活発におこなわれました。まずは保健師(保健所)に相談をつなぐことが有効であると確認されました。制度上では、ひきこもり地域支援センターやひきこもりサポーターなどが位置づけられていますが、身近な自治体の窓口が利用しやすく整備されていことが重要だと話し合われました。ひきこもりに特化した当事者会や親の会がなさそうなので、設立が期待されます。また、分かりやすい窓口の整備や広報の充実も期待されます。
 具体的な体験談も語られて、お金を断つのではなく一定額を管理させるなどを続け2年がかりでお子さんをひきこもりから脱出させた経緯が紹介されました。別な例では、ひきこもっていた自分の体験を振り返って、今度は支える側の活動がしたいと言っているお子さんの話もありました。体験したことを分かち合うことで、多くの人びとの充実した暮らしを実現できる可能性が確認できた会話でした。

第5回例会(2016.7.7)の概要

昼の部は4名。保護者1名、支援者1名、室工大関係2名。
 前回の自閉症に関する話題を簡単に振り返ってから、AD/HDについて疑似体験用の動画を見てみました。視聴後に質問が用意されているので、動画の内容を覚えておく必要がありました。ところが動画は、同時並行で情報が流れてくるために、焦点を定められません。どの情報を取捨選択るのか混乱させられます。さらに質問は、切り捨てたはずの内容だったりします。こうした、情報入力につまずく状態を感覚的に味わってみました。
 情報の優先順位をつけられない場合、重要事項を忘れたり、常に慌ただしく確認作業に追われたりします。携帯ツールなどの道具で弱点を補強しようとして、そのツール使用だけに時間が奪われてしまうこともあります。実際にAD/HDをもつお子さん例について、就職に関わっての悩みが語られました。何とかプラス面(例えば、集中力の発揮)に目を向けた対応で仕事内容を選ぶとか、社会全体にAD/HD理解が広まる方法などについて話が及びました。
 次回は、引きこもりをテーマとして話し合いができないだろうか、との要望が出されました。予定しておくことにします。

夜の部は16名。当事者2名、保護者2名、支援者7名、室工大関係5名(学生3名)。
 学校で支援員として多動の子どもの担当をしているが、どう対応すべきなのか迷っている、という質問がありました。個々の状況にもよるが、短時間に区切った課題提示が有効な場合がある、との体験談が語られました。例えば十分程度で仕上げられる内容にするというように。また、その子が字を書くことを嫌がりすぐに歩き回ろうとする、などの行動に対しては、なぞり書きができるようにして示す、一斉提示の課題をさらに分割して提示する、などの取り組み例の提案がありました。
 疑似体験の動画を視聴し、質問にも答えてもらいました。再視聴すると焦点をしぼりやすくなる体験もしました。不注意優位型のAD/HDでは、単に注意が散漫となるだけでなく、逆に集中し過ぎる場合も見られる、という実際の例についても教えてもらいました。家族や周囲を巻き込んで、生活のあらゆる場面で混乱が生じてしまったという体験も語られました。対応策として、別に部屋を借りての暮らしが選ばれましたが、それで全て解決したわけではありませんでした。
 家族に向けて嘘をついてしまう、という問題については、「その人が嘘をつくのではなく、周りがその人に嘘をつかせているのだ」という受け止め方をしていると、障害者施設で生活支援員をしている方から助言してもらえました。家族の努力に満点があるわけではないので、「よその子を預かっている」とあえて思ってみる発想の転換や、弱点を逆転させる工夫などの提案が出されました。既成の制度を知り、利用する助言もありました。参加者全員で、困難さを支えていこうとする雰囲気で例会は閉じられました。

第4回例会(2016.6.22)の概要

昼の部は4名。保護者1名、支援者1名、室工大関係2名。
 前回のDVD『自閉症の人が見ている世界~自閉症の人を正しく理解する~』に出ていたTEACCについて概略を解説。自閉症を一つの文化ととらえ、当人の暮らしが成り立つように環境を整える工夫のいろいろについて実例を見て確認。生まれてすぐに始め、一生を視野に入れた時間的な広がりと、地域ぐるみで対応を考えるという空間的な広がりを目指していること。保護者も療育者として共同して方針決定に関わっていくこと。構造化を図ることなどを理解しました。
 参加の親御さんからは、いわゆるアスペルガー症候群の特性のある子どもさんについて、友人関係の心配とネットゲームに没入する心配が語られました。これらの問題は、子どもの特性との関わりに限らない社会問題でもあります。携帯ツールが普及して、いつでもどこでもゲームができる状況です。しかし自閉症の傾向が強くなると、他者との関係づくりで苦労する不快から逃げて画面へ没入しがちです。ゲームの進展を話題にするのでも良いので、実際の会話に引き入れることが大事ではないだろうか、との意見などが交わされました。 

夜の部は10名。当事者1名、保護者1名、支援者5名、室工大関係3名(学生2名)。
 TEACCHの取り組み方について、実践の経験のある参加者がいたので、概略の説明後に感想を聞かせてもらいました。障害児教育にも流行のようなものがあり、一時期は持てはやされてもしだいに下火になる対応法があるが、TEACCHは長く引き継がれているとのこと。学校での取り組みで定着した当人の生活スキルなども、卒業後の環境変化を乗り越えて続けていけるようになるのは、とてもたいへんなことのようです。地域ぐるみで対応するような、広がりのある施策が実現されるのには、まだまだ何段階ものステップが必要なようです。
 今は既に社会人生活をしている息子さんが、子どもの頃に月に600時間もゲームに費やしていたことがあった、と参加者の一人から発言がありました。当時は心配の種であったが、ゲームにはまり込んだままになることはなかった、という一つの結果を示す内容でした。今現在小学生のお子さんが、オンラインゲームに夢中になっていて困っている、という子育て真っ最中の保護者の心配事が語られましたが、そのままが続くわけでもなさそうだ、という助言になるのかもしれません。
 しかし、このゲームの魅力は、子どもだけに限らず大人も惹き付けています。予め時間を決めておくとか、ゲームする場所を家の中で決めておくとかの約束事が必要なのかもしれません。さらに、インターネット常時接続には、ウィルス感染や課金の心配があることも専門的に解説してもらえました。このゲーム問題は、今後も引き続いてテーマになりそうです。

第3回例会(2016.6.8)の概要

午前の部は、5名。保護者1名、支援者2名、室工大関係2名。
 初めに、『自閉症の人が見ている世界~自閉症の人を正しく理解する~』のDVDを視聴。ダイジェスト版で、十数分程度。内容は、自閉症の人の学習スタイルと好みについて専門家や当事者・保護者が語っています。動画の中で使われていた用語について、視聴後に解説。障害と病気、定型発達、TEACCH、イアーマフなどを話題にしました。
 保護者の方からは、お子さんの成育と関連づけて理解が深まったとの感想が聞かれました。現在の当人の状況についても、こうした理解で対応を考えられたら良いとのことでした。また、周囲の理解がとても大事で、企業などが仕事内容や指示の仕方を配慮したり、学校でも落ち着きの無さに対してきつく叱責するだけではない対応をとるなど、当事者に合った関係づくりを期待したいと話し合われました。

夕方の部は、10名が参加。当事者1名、保護者4名、支援者2名、室工大関係2名(学生1名)、報道関係1名。
 DVD(上述)の視聴。感想をメモ書きしてから感想や意見を述べ合いました。保護者の体験として、当人が小さい頃には、動画にあったのと同じようにタオルを離さなかったと、実例を教えてもらいました。これは、動画では自閉症の人が「慣れ親しんだもの」を好む、と説明されていたものです。ご自身の体験としても、いつもの現場での作業は完璧にこなせるのに、他人とのやりとりや費用計算などで優先順位が混乱し、工程管理などでパニックになった例も教えてもらいました。
 一人の人が、LD(学習障害)と診断されたのに、後になってAD/HDかもしれないと言われたりする、診断のぶれについても話題になりました。人を見る際に、その人の精神活動や言動の原因に注目するのと、実際に見られる行動面に注目するのとで、受け止め方に違いが出て来るのは現実にありそうです。例えば、散髪を極度に嫌がるお子さんの例が紹介されましたが、それは「切る」という動作が指を切って痛いという感覚と通じ合っていたのかもしれない、と想像されるとのことでした。また一方では、自閉症(ASD=自閉症スペクトラム障害)と診断されていても、自分には特別な感覚の過敏があるわけではない、という当事者の方の意見もありました。その人、と向き合って理解することの大切さと、難しさを考えさせられました。

第2回例会(2016.5.25)の概要

午前の部に、9名参加。当事者1名、保護者4名、支援者2名、室工大関係2名。
 前回は夕方に参加したが今日は昼にした、という人が3名。ご自身の都合に合わせて、参加しやすい時間帯を選べるようにしています。自己紹介で、参加の動機について、自分の年齢の区切りに合わせて誰かのためにできることがあれば、と考えて来てみた、との発言がありました。当事者の方からも、自分の経験が誰かの役に立つかもしれない、という発言がありました。思いを語り合い、分かち合うことに大きな価値があるということ共有できたやりとりでした。
 人とのコミュニケーションに困難さをかかえる、という似たような状況があったとしても、当事者の様子から周囲の人が気づきやすい場合と、気づかれにくい場合で苦労の中身に違いがあるようだ、という話が出ました。また、学習面でのつまずきを学校外(塾など)で補った、との体験談も語られました。子どもがLDと診断されても、それを学校に知らせなかった、という体験談や、自分から診断を求めて受診したという例を語られました。多様な対応方法があるな、と実感させられました。

夕方の部は、14名が参加。当事者2名、保護者2名、支援者4名、室工大関係6名(学生3名)。
 当事者の方からは、自身のうつ病体験に加えて発達障害とも診断されたことから参加することにした、との自己紹介がありました。それまでの自己認識では、支援する側のはずだったが今度は支援される側になり、その逆転はカルチャーショックと呼べるほどに衝撃的だった、と語ってくれました。本人だからこそ語れる貴重な話を聞かせてもらえました。
 職場の困りごとの相談もありました。新人職員との接し方の悩みで、当人が努力しているのは分かるが、仕事の優先順位などに心配な面があり、周囲の安全が確保できずに危険な場面もあったとのことでした。医師の診断を受けるように勧めたいがどうだろうか、との問いかけに対して、当事者の方から、自身の似た体験が語られました。その時の対応策は、「自分への指示は主任だけが出す」「仕事内容を吟味し、複雑な判断が必要とされない部署に配置転換した」「話を聞いてくれたり、他の人の言動を解説してくれる役割の同僚が身近にいた」などだったそうです。他にも、職場で似た状況を体験した話がありました。成功例だけに限らず、相談に応えようという参加者同士の話し合いが、とても充実していました。
 学生からは、仕事で必要とされる「臨機応変」については、自分としても不安があるなどの感想が語られました。

第1回例会(2016.5.11)の概要

午前の部には、8名が参加。室工大関係3名、児童発達支援施設1名、当事者支援関連2名、保護者3名。息苦しさを感じている状況について、これまでの体験を語る時間と、そうした生きづらさの根底には何があるかについて、社会全体を見渡す視点の提案もありました。具体的には、地域の学校に通うために苦労していること、特別支援と通常の学級の行き来について思うこと。既に成人している発達障害の当事者がかかえる就労の難しさ。周囲の理解を得られる前に退職を余儀なくされるという繰り返し、などが語られました。

夕方の部には、12名が参加。室工大関係5名(学生3名)、当事者3名、保護者3名、支援関連1名。当事者の方からは、発達障害の診断を受けることの意味、診断を得てからの思いなどが率直に語られました。保護者としての思いには、学校から診断を受けるように言われたことへの疑問や、成人して引きこもりがちの現状と小学生でノイローゼに悩まされた過去との対比などが紹介されました。参加した学生の感想には、今まで気づくことのなかった実情の多様さに驚かされたという
似ようがありました。認知行動療法の例として、特定のターゲット行動に対して、増やしたい行動・止めさせる行動・無視する(誉めるために待つ)という対応をしてみることが提案されました。ターゲットの行動は、具体的で回数などの数で表されるものを選びます。自分で自分の行動を見直すことにも応用できます。第一回目は、トレーニングよりもトーキングに重点がおかれた展開になりました。各要望を取り入れて次回の内容を考えていきます。

 

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